研究概要 |
非アルキメデス的局所体F上のn次一般線形群GL(n,F)の既約スーパーカスピダル表現についての研究を行った。今年度はpとp'が互いに異なる素数のときに、GL(p,F)×GL(p',F)のε因子の公式を求めて、それを証明した。証明の大枠は、局所Langlands対応を用いて、ガロア群の表現のテンサー積のε因子の計算に持ち込み、base change liftの議論を使って、再度、GLの表現に持ち込んで、1次元の表現によるtwistとなって計算が可能となるというものである。この議論のために、必要であったのは、局所Langlands対応がHowe-Moyの具体的な対応と一致すること、Arthur-Clozelのbase change liftとBushnell-Henniartのbase change liftが一致し、そのliftの具体的な形を与えること、base change liftと局所Langlands対応の可換性を示すことであった。これらを最新のBushnell-Henniartの結果を用い、すべての項を具体的に計算することで解決した。この結果は、局所Langladns予想から得られる本当の目的、「Galois群の表現が難しいので対応するGLの表現を調べることでGalois群のことを知ろう」といった方向への貴重な一歩となる。また、Langlands progaramから示唆されるGL(m,F)×GL(n.F)からGLmnへのリフトの構成などへの応用も考えられる。更に、今回の結果からConverse Theoremの精密化についても期待できる。
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