研究概要 |
この研究では,モノミアル曲線が集合論的完全交叉になるかという問題を主に取り扱い,その問題に対して部分的ではあるが肯定的な結果を得ることに成功した。まず,最初に示したのは準素イデアル分解の束イデアルバージョンである。すなわち,二項イデアルに対し,それを含むような束イデアルと単項式イデアルの和からなるようなイデアルの交わりをとると,元の二項イデアルのradicalに等しくなるという結果である。この結果により,up to radicalな生成を考えるときには束イデアルのみをかんがえればよいことに結論付けられた。次に,アフィン空間内のモノミアル曲線について,この研究の始まる前の集合論的完全交叉を示す方法では絶対にそのことを証明できない例を発見した。すなわち,以前の証明方法では,埋め込まれた空間の次元マイナス2個の二項式と1個の多項式でup to radicalな生成系を形成していた。この研究では,そのような生成系を持つための必要十分条件を与え,その判定法を用いることにより,17,19,25,27で定義されるモノミアル曲線がそのような生成系を持たないことを示した。なお,この曲線も集合論的完全交叉であることも別の論文で証明した。さらに,これらの結果の一般化を考え,アフィン4次元空間内のbalanced半群に付随したモノミアル曲線の場合に,それらが集合論的完全交叉であることを証明した。この結果は前述の17,19,25,27で定義されるモノミアル曲線が集合論的完全交叉であるという結果を含んでいる。
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