研究概要 |
以下,sを複素変数,x,λを実数パラメタでx>0とし,e(λ)=e^<2πiλ>と書く.φ(s,x,λ)で級数Σ^∞_<n=0>e(λn)(n+x)^<-s>(Res>1)を全s平面に有理型に接続して得られるLerchゼータ関数を表す.本研究代表者は以前,[Collect.Math. (1997)]において,Lerchゼータ関数のパラメタxに関する二乗平均∫^1_0|φ(s,1+x,λ)|^2dxのIms→±∞における|Ims|の減少orderの完全漸近展開を導いた.いまmを自然数,a>0を任意定数とするとき,昨年度からの研究ではこれを一般化して,多重二乗平均∫^1_0…∫^1_0|φ(s,a+x_1+…+x_m,λ)|^2dx_1【triple bond】dx_mについても同様のIms→±∞における完全漸近展開を証明した. 他方,z=x+iyを複素上半平面のパラメタとするとき,正定値二次形式Q(u,v)=|u+vz|^2に付随して,そのEpsteinゼータ関数が,ζ_<Z^2>(s;z)=Σ_<(m,n)∈Z^2\{(0,0)}>Q(m,n)^<-s>(Res>1)およびその全s平面上の有理型関数への接続として定義される.いまα,βを複素パラメタ,Γ(s)でガンマ関数を表すとき,本研究代表者は昨年度からの研究で,ζ_<Z^2>(s;z)のy=Imz→+∞における完全漸近展開を導き,さらにその(Poisson分布型加重平均ともみなせる)Laplace-Mellin変換LM^α_<y;Y>ζ_<Z^2>(s;x+iy)={1/Γ(α)}∫^∞_0ζ_<Z^2>(s;x+iyY)y^<α-1>e^<-y>dyのY→+∞における完全漸近展開を証明した.現在さらにRiemann-Liouville変換RL^<α,β>_<y;Y>ζ_<Z^2>(s;x+iyY)={Γ(α+β)/Γ(α)Γ(β)}∫^1_0ζ_<Z^2>(s;x+iyY)y^<α-1>(1-y)^<β-1>dyのY→+∞における完全漸近展開についてもほぼ満足できる成果が得られており,現在欧文論文を準備中である.
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