研究概要 |
Oを有理数体Q上の不定符号四元数斜体の極大整環、pを素数とし、M(p)をOとレベルΓ_0(p)に対応する志村曲線とする。(総虚)代数体k上の点Qには、QM型アーベル曲線が対応する。 (A, C, ι, V)、C:主偏極、ι:O→EndA、V:階数1のO-加群(⊂A[p])。モデル(A,*)が代数体K上定義されたとき、ガロア指標λ:G_{K}→Aut_{O}V(overline{K})=F_{p}^{*}がこのモデルに対する同種指標である。 一般にK≠kであるが、CM型ではないときには、Aut(A,*)={±1}なので、[K:k]=1,2となる。ブラウアー群の性質により、K/kが分岐か不分岐かは、与えられた有限個の素イデアルについては、自由に選べる。 次にt:G_{k}^{ab}→G_{K}^{ab}をガロア群の移送とし、φ=λ・tを考える。すると、φ^{4}はモデルの選び方によらず、φ^{12}はp以外で不分岐となる。そこで、有限群スキームの分類とM(p)がコンパクトであることを利用すると、有限個の素数pを除いて、φ^{12}は2つの型に分類される。 KのQ上のガロア閉包の類数と、ミンコフスキー定数で定まる定数C_{1}が存在して、p>C_1なる素数pについて次の(1),(2)の場合のみ生ずる。 (1)φ^{12}=θ_{p}^{24},p≡3(mod 4). (2)kは、ある虚2次体Lを含み、pはLで分解し(p)=frak{p}overline{frak{p}},φ(σ_{frak{q})^{12h}=Nr_{k/L}(α)^{24}.ここで、hはkの類数、(α)=frak{q}^h. さらに、kが虚2次体のときには2次指標に関するL-関数のジーゲル零を含む解析数論の結果を用いてある定数C_2が存在して、p>C_2ならば(1)のケースは無いことがわかる。
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