今年度はy^2=x^5-1のprincipal polarizationを持ったJacobian varietyの4分点、8分点、16分点、一般に2^n分点について調べた。詳しく言えば、1の原始5乗根をζとし、有理数体Qにζを附加した体をkとする。kに4分点を附加するとkのmod 4のray class fieldが得られ、8分点を附加した体はkのmod 8のray class fieldをその部分体として含み、16分点を附加した体はkのmod 16のray class fieldをその部分体として含む。一般に2^n分点をkに附加した体はkのmod 2^nのray class fieldを含む。上のJacobian varietyの座標は2変数のペー関数として得られるが、2変数のテータ関数の倍角公式の中にペー関数が表れ、それを用いることによってmod 4のray class fieldとmod 8のray class fieldの中にテータ関数の特殊値として単数を構成した。さらにmod 2^nのray class fieldの中では、上記テータ関数の特殊値に表れる素因子はkにおいて完全分解することを示した。上のことを示すために表れる素因子におけるJacobian varietyのreductionを考察し、志村谷山による高次元の虚数乗法論を用いた。 また8分点について曲線y^2=x^5-1のy座標についても考察したが、目ぼしい成果は得られなかった。 また、今年度の3月15日、16日、17日に早稲田大学において整数論の研究集会を開き、情報の交換をする予定である。
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