本研究では直線の1径数族が作る線織面と円の1径数族が作る円織面の微分幾何学的な特徴や両者の特異点の違いなどを調べなど、特異点をもっ曲面の研究を目的としている。微分幾何学的に古典的な形としての線織面は19世紀から研究されてきたが、特異点をもつ線織面の研究ではなかった。そこで、微分幾何的な特徴をもつ曲線が線織面の形を決定するのにどれだけ関係しているのか、それによって現れる特異点にどんな影響を与えるのかということについて調べた。3次元空間内で螺旋の一般化であるような特殊曲線を新たに発見し、その特殊曲線ののる線織面について研究した。線織面の研究の延長としての円の1径数族が作る円織面の研究においては、円の大きさを固定した円織面について特に多く取り組んだ。線織面上には締括線と呼ばれる曲線があり、線織面上の特異点はその上に存在している。そこで、円織面上にも同様な性質をもっ曲線を考え、円織面の締括線と呼んだ。円織面上の特異点はこの締括線上に存在している。特に円を一定の大きさに固定した円織面において、円が曲面上の曲率線になっているという微分幾何的な特徴をもつ円織面はカナル曲面、球面、ローラーコースター曲面であるという分類を行った。その中で特異点をもつローラーコースター曲面の特異点を分類した。また、ミンコフスキーn次元空間内の空間的曲面について研究した。そのひとつとしてミンコフスキー空間内の余次元2の空間的部分多様体にたいしては、光的ガウス写像が一意的に定まることを示し、このガウス写像をもちいて、光的曲率が定まることを示した。さらに、この曲率の局所的性質をルジャヤンドル/ラグランジュ特異点論の応用としてしらべ、大域的性質として、ガウス・ボンネ型定理が成り立つことを示した。この曲率は、部分多様体がユークリッド空間内にあるときは通常のユークリッド微分幾何学としての曲率に一致する。
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