研究概要 |
極小曲面に対し曲面のある領域が安定か不安定であるかはゼロでない変分について第2変分が常に正、あるいは負となる場合が有るかどうかによって決まる。不安定極小曲面の場合増大する領域を考えれば、安定から不安定に移るときにヤコビ場と呼ばれる変分ベクトル場を持つ領域が現れる。安定から不安定になる極小曲面の分岐現象を調べることはEnneper's surfaceについてのBeesonとTrombaによるくさび型カタストロフィーの出現の研究以来興味ある問題である。N次元ユークリッド空間の安定極小曲面の重要な例はN次元ユークリッド空間の複素部分空間の"正則曲線"である。単連結極小曲面にSO(N,C)の作用を考えれば、正則曲線は正則曲線に移る。このことを弱い条件「SO(n,C)の作用が1つの単連結安定極小曲面を常に単連結安定極小曲面に移す」に変えた場合でも、最初の極小曲面は正則曲線となることを証明した。即ち、SO(N,C)のone parameter sub groupの作用で正則でない安定極小曲面は安定でない極小曲面に移ることが示された。従ってある領域はヤコビ場を持つ(弱)安定極小曲面が現れることになる。残念ながらそこで起こる現象を解析することはかなり困難である。そこで起こる現象を解析するためにコンピューターシュミレーションを用いることが重要となる。数式処理ソフトMATHEMATICAを使って岡本氏と私はある動く境界に張る極小曲面のシュミレーションを実行し安定極小曲面から分岐しくさび型カタストロフィーが出現するようすを調べた。これは数値計算であり数学的証明はまだであるが可能性を示した結果と考えられる。 これらの結果はブルガリアで行われた国際研究集会「7^<th> International Workshop on Complex Structures and Vector Fields」で発表された。
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