研究課題
基盤研究(C)
逆問題について幾何学的側面から研究した。境界付リーマン多様体の境界距離表現とは多様体の内部の点に対し、その点から境界の各点までの距離を与える関数族とする。あらかじめ与えられた幾何学的条件の下で、この境界距離表現がリーマン多様体を安定的に決定するかと言う問題について考察した。答えはリーマン多様体の直径、単射半径、Ricci曲率および境界のRicci曲率、平均曲率のヘルダ-ノルムの制限の下に肯定的である。より強く、境界距離関数を近似する離散集合が与えられたとき、リーマン多様体をグロモフ・ハウスドルフ距離で近似する有限距離空間を構成できるきおとがいえる。応用において、境界距離表現は、逆問題は多くの問題が物体の境界の測定により定式化されるゆえ、いろいろな状況で現れる。例えば、物体の内部の熱容量を未知とする熱方程式の逆問題では、境界での測定から境界距離表現がはじめに決定され、その後内部容量がリーマン計量から決定されるし、境界付リーマン多様体上のラプラシアンの固有値および固有関数の境界値からリーマン多様体を決定するというGel'fandの逆問題においてもはじめ境界距離表現が決定され、それから内部のリーマン計量が決定される。またマックスウェル方程式やディラック方程式でも同様である。分担者は以上の研究に協力した他、清原はリウビル多様体の測地線の挙動、田村は2つの2次元ソレノイド磁場による散乱、島川は配置空間のトポロジー、酒井は等縮不等式池田は等スペクトル多様体、吉岡はg-function、田中は作用素半群、竹内はグラフのp-調和関数について研究した
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