研究課題/領域番号 |
16540070
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
阿賀岡 芳夫 広島大学, 総合科学部, 教授 (50192894)
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研究分担者 |
宇佐美 広介 広島大学, 総合科学部, 助教授 (90192509)
中山 裕道 広島大学, 総合科学部, 助教授 (30227970)
今野 均 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00291477)
兼田 英二 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (90116137)
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キーワード | 等長埋め込み / 射影空間 / ガウス方程式 / クラス数 / 擬平坦数 / 曲率 |
研究概要 |
今年度は射影空間のクラス数の評価に関する研究、及び余次元1のガウス方程式の可解性についての研究を行った。 1.複素射影空間P^n(C)及び四元数射影空間P^n(H)はそれぞれn^2+2n次元、2n^2+3n次元のユークリッド空間へ大域的に等長に埋め込めることが小林により示されている。これはそれぞれの空間のクラス数がn^2以下、2n^2-n以下であることを示している。一方複素射影空間P^n(C)のクラス数は[6n/5]以上であることが知られており、これが最良の下からの評価であった。研究分担者である兼田英二氏と共にこの問題に取り組み次の結果を得た。定理:P^n(C)のクラス数は2n-2以上、P^n(H)のクラス数は4n-3以上。この結果は、小林による上からの評価には及ばないものの、今までに知られていた下からの評価式を大きく改良するものである。この定理は、それぞれ余次元が2n-3,4n-4におけるガウス方程式が解を持たないことを示すことにより証明される。具体的には、擬平坦数を実現する擬可換部分空間とルート部分空間との関係を詳しく調べることによりこの結果が得られる。 2.一般に与えられた余次元におけるガウス方程式の可解性を判定するのは代数的に難しい問題である。この問題に対する一つの見通しを与えるために、曲率を代数的に見てより単純な構造をもつ多項式値の2形式に書き換え、この定式化のもとで余次元が1のガウス方程式の可解性についての研究を行った。余次元が1の場合は曲率に対応する2形式が分解可能であることが可解であるための必要十分条件であるから、Pluckerの関係式が可解であるための一つの条件となる。2形式がスカラー値の場合であればこれは十分条件でもあるが、多項式値の場合更にもう一つ3次の新たな条件を課せば可解となることを示した。この問題に関しては、更に結果を高次元へ拡張する必要がある。
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