研究概要 |
C^3の非特異ファノコンパクト化(V,A)で特異点としてスモールゴレンスタイン特異点をもつファノインデックスr=2,3の場合の構造を完全に決定した.この場合,詳しくいえば,Vは次数d=4,5のファノ多様体で,特に,第4ベッチ数b_4(V)=1または2であり,b_4(V)=1のときはd=4,b_4(V)=2の時は,d=5であることを示した.この結果はドイツの伝統ある数学雑誌Mathematische Zeitschriftに受理され2004年末に出版された.インデックス1の場合はVのgenus g<13(g≠11)であることは知られているが,現在までに,g>8が得られているが,最終的にg>9が示されれば良い.実際,g=10,12の時はそのようなコンパクト化が存在することは既に証明済みである.関連して,C^3の非ケーラーコンパクト化についても,部分的ではあるがその構造について新しい結果が得られた.本研究でえられた諸結果の応用として,C^2をGL(2,C)のスモール巡回有限部分群Z_nで割った商空間C^2/Z_nの最小ノーマルコンパクト化の完全分類に成功し,特異点の最小特異点除去に付随する標準因子の交点数と境界に付随する標準因子の交点数の間の初等整数論的なきれいな関係式(ある種の双対性)を導き出すことに成功した.これは,特異点をもつ空間とそのコンパクト化の境界との間の一般的双対性を示唆するものであり,上記コンパクト化の研究を深めて行く中でこの問題も同時に考えて行きたい.尚,この結果はハンブルグ大学数学雑誌Abh.Math.Sem.Hamburgに受理され2004年末に出版された.
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