研究概要 |
ピカール数1のsmall Gorenstein特異点を持つ3次元ファノ多様体で3次元複素アフィン空間C^3のコンパクト化であるものの分類問題は、C^3の非射影的コンパクト化の分類の研究と密接な関係があり、本研究の中心課題であった。このようなコンパクト化には指数(インデックス)と呼ばれる自然数r(r=1,2,3,4)が定義され、インデックスに応じて分類がなされる。今回の研究でインデックスrは実際r=1,2,3の値をとり、r=2,3の場合に分類を完成することができた。残る、r=1の場合は新たな例の構成を与えることにより、全体構造の解明に一歩近づく事ができた。これらの結果はドイツの伝統ある数学雑誌Mathematische ZeitschriftおよびKumamoto J.Math.に掲載された。これらの研究の過程でC^2の有限巡回群による商空間の解析的コンパクト化の構造も解明でき、ハンブルグ大学の数学雑誌Abh.Math.Sem.Hamburgに掲載された。この研究はさらに新たなアフィン曲面のコンパクト化の研究にも有用であることも分ってきた。問題の全貌解明には至っていないが、かなりの所まで解明されてきた。本研究は「内部は境界によって決まる」という複素解析学の基本哲学をコンパクト化の研究に(一般哲学として)適用している、この哲学を、多変数関数論の正則領域の研究に関する古典的問題に試行的に当てはめたところ、ある予想「スタイン空間内の正則領域はスタインである」を弱い条件のもと解決できた。これは、予想外の結果であり、国際研究集会で発表し、その内容もそのProceedingsにて発表されている。
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