研究課題
鎌田氏によって、4次元空間に埋め込まれた曲面を研究するために、平面上のグラフで表現する手法、chartが定義された。n-chartは平面上の向きが付いた、各辺に1からn-1までのどれかのラベルが付けられたグラフで、ある条件を満たすものである。頂点は次数1と4と6の3種類あり、次数1の頂点をblack vertexといい、次数4の頂点をcrossingという。chartにはC-moveという変形があり、このchartに対応する曲面のambient isotopy classを変えない。次数6の頂点を持たないchartに変形できるchartをribbon chartという。鎌田氏によって、どの3-chartもribbon chartであることが示された。永瀬氏と広田氏によって、crossingが高々1つである4-chartはribbon chartであることが示された。永瀬氏と志摩によって、crossingが高々2つである4-chartに対して、その対応する曲面が球面ならばそのchartはribbon chartであることが示された。また2年前にはラベルについて条件がなく 『crossingを高々1つもつどんなchartもribbon chartである』 ことが示せた。今回の結果もラベルについて条件がなく『crossingが高々2つであるchartに対して、その対応する曲面が球面ならばそのchartはribbon chartである』ことが示された。これを示すために、『crossingが丁度2つであるminimal generalized n-chartは少なくとも4n-10個black vertexを含む』を示した。chartに対して、その対応する曲面が球面ならばそのchartは2n-2個black vertexを含む事実から結果が得られた。black vertexの数を調べるためにtangleという概念を導入した。tangleのうち次数6の頂点が減らせる条件をいくつか発見した。
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Journal of Mathematical Sciences, the University of Tokyo 14
ページ: 69-97