研究概要 |
1.幾何構造に即した写像のシュワルツ微分と正規接続等の関係を明らかにする観点から,CR構造の場合田中-ウェブスター接続の一意性定理は重要であるので,本研究の鍵となるハイゼンベルグ標構を使った一意性の別証明を行った. 2.CR構造の下部構造としての接触構造に対して,接触ハミルトン関数が生成する接触微分同相がCR微分同相になるための条件をハミルトン関数の微分方程式として表した.これは無限小レベルでのシュワルツ微分とほぼ同等の情報をもつものである. 3.CR幾何学におけるsu_2標構の有効性を検証した.その1つの結果としてsu_2標構を使って田中-ウェブスター接続の存在と一意性を示し,その係数の簡明な表記を与えた. 4.高次元接触変換に対するシュワルツ微分の概念を確立した.その応用として,ある種の偏微分方程式系が接触変換により最も単純なものに変換されるための必要十分条件を得た. 5.固定された接触構造に適合するハイゼンベルグ標構に対して,CR構造の変形パラメーターを多様体上の複素数値関数で表現し,レヴィ形式,田中-ウェブスター接続の係数等をその関数で記述した. 6.狭義接触変換のCR構造に関するシュワルツ微分の概念を確立した.その結果として,3次元CR構造の基本方程式を求め,その係数の幾何学的意味を CR 構造の概念を使って説明した.また,その方程式系の解空間にある自然なエルミート構造を発見した.その応用として,狭義接触変換によるCR構造の同値問題を3次元の場合に解いた。
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