研究概要 |
4次元ユークリッド空間における余次元2の曲面の幾何について: genericな余次元2の曲面の変曲点の周りには漸近線と呼ばれるある種の曲線族が付随して現われ、漸近線は変曲点で退化する。この漸近線は変曲点を特異点として持つsingular 2-webとみなせる。ここで2-webとは2つの曲線族(特異葉層構造)の重ね合わせのことである。また、曲面の変曲点は孤立しているとする。漸近線はある種のbinary微分方程式の解曲線として与えられ、このbinary微分方程式の特異点が漸近線の変曲点である。この特異点に対する不変量としてrankが定義される。Rankが2(最大rank)のときは、すでに申請者がトポロジカルに漸近線の分類をしていて、曲面の主曲率線の分類などで現れるタイプD1,D2,D3,D12と同じものが現われる。Rankが1のときは、漸近線が変曲点において更に退化する場合であると考えられる。原点を孤立特異点として持つbinary微分方程式の空間は3次元であるが、この中でrankが1であるものがつくる部分空間を決定して、これは平面の和になっていることがわかった。また、rankが1であるときの漸近線の形状を知るには、ある種のベクトル場の振る舞いを調べることに帰着されるが、このベクトル場は複雑なため難しい。しかしrankが2のときに現れたタイプD2とD3を併せたタイプ(D23と呼ぶことにする)であると予想される。 Webの線形化問題について: 孤立特異点を持つ関数の組として与えられるWeb構造については、ブローアップして特異点論における弱有限確定性の理論を適用することが、webの局所線形化可能性を判定する有力な手段であることがわかった。
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