研究概要 |
本研究は,有限要素法の事後誤差評価に関するものであるが,前年度,前々年度の成果も踏まえ,最終年度である本年度は,下記のような成果と新知見を得た。 1.ハイパーサークル法に基づく事後誤差評価手法の研究: ボアッソン方程式の境界値問題について,標記の事後誤差評価手法の解析,混合法や関連手法の開発と利用,数値実験による検討・検証を引き続き実施し,さらに投稿中の関連論文は別記のとおり掲載された。この手法の最大の特徴は,誤差評価式に現れる正定数が皆無もしくは極めて少ないことである。反面,適用範囲は限定されることが前年度までに判明しているので,その点に留意して板曲げや電磁場等にっいて,さらに可能性を探った。また,非適合要素についても,何らかの拡張法が可能かを探っている。 2.補間誤差定数の値の決定・上下界評価の研究: 一般の事前および事後誤差評価には,補間誤差定数など各種の正定数が現れるので,定:硅的な誤差解析には,このような定数の決定・上下界評価が必要である。すでに進めている適合1次三角形有限要素の解析に加え,非適合1次三角形要素についても研究を実施している。成果の一部は前年度に国際学術論文誌に印刷公表されたが,その発展成果の一部がまもなく別の国際誌に印刷公表される(ウェブでは公開済み)。また,非適合要素に対する成果は,今年度の国内の研究集会,年会などで口頭発表されている。 3.電磁場有限要素の開発・改良・解析: 1,2に関連する課題として,電磁場問題の有限要素の研究も進行中で,四辺形要素については,前年度に国際誌に印刷公表された。軸対称形状での有限要素法に関する成果を,今年度の国内研究集会と国際研究集会で口頭発表済みで,さらに研究を展開中である。 4.板曲げ要素の解析・数値実験: これも関連する課題で,平板曲げ要素の研究も進展中である。今年度は,横勢断力の評価法について国際会議で口頭発表し,さらに深化させるべく解析を進めている。 5.不連続ガレルキン法の考察: 新しい課題として,近年海外で盛んに研究されている不連続ガレルキン法に関して,事後誤差評価手法の研究を開始している。上記1に挙げた非適合要素法は,その古典的な例でもあるので,これを一つの取っ掛りとして,探索していきたい。
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