研究概要 |
実数の部分集合X上の実数値連続関数の集合C(X)にいろいろな位相を入れた時,それらがどのような性質をもつか,研究を行った.C(X)に各点収束位相を入れたものをCp(X),コンパクト開位相を入れたものをCk(X)と表すこととする.Pを実数空間の部分集合としての無理数空間とする.本研究の最大の目的の,「Ck(P)はM1空間であるか」という問題は,Ck(P)がWAPという局所的性質をもつことがわかれば肯定的に解決される.本年度は,その点に着目し,次の成果を得た. 成果1.Stevo Todorcevicとの共同研究により,Cp(P)がWAP(weakly approximation by points)という性質を持たないことを示した.具体的には,Gary Gruenhageと代表者が構成したWAPでないM1空間の例が,Cp(P)に閉集合として埋め込まれることを示した.これは,Ck(P)のWAP性を調べるための第1歩である. 成果2.Gruenhageとの共同研究により,成果1で,Todorcevicと考案した方法は,Ck(P)がWAPでないことを示すのに用いることができないことを証明した. 成果1の結果を得るために,記述集合論的手法を用いた.実際,Gruenhageと代表者が構成した位相空間の位相は「可算集合上のその位相は,カントール集合の部分集合とみたときに解析的集合である」という性質をもつ.したがってその性質を用いることによって,その例がCp(P)に埋め込めることを示せる.さらに,その埋め込みを変形することによって,その例がCp(P)に閉集合として埋め込めることを証明した.
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