| 研究概要 |
今年度は主に以下の種目に注力した.
1.p-q modelの解析はかなり進み,高次元での相図と臨界現象がほぼ,明らかになった.予想通り,(1)パーコレーションと1attice animalをつなぐ形の相図になっており(2)臨界現象は1attice animalと同じである.これを現在,論文に執筆中である.
2.以前に行った(パーコレーション,自己回避酔歩などの)臨界点での2点関数の振る舞いに関して:以前の解析では主要項は捉えられたが,その次のオーダーの項の評価が不十分であった.これはそもそも,解析に用いたガウス型模型での評価が甘かった(実際に予想されるオーダーよりも悪い評価しか得られない)ためである.漸く最近,この問題に関して完全な解決を得,結果として,以前からの予想通りの誤差評価が証明できた.これは本来のパーコレーション等の臨界現象の解析のみならず,ガウス模型の2点関数の評価としても非常に興味深い.
3.学習院大学の田崎晴明氏と共著で,イジングモデルの相転移と臨界現象に関する本(大学院向けの教科書)を執筆中であり,原稿はかなり完成した.題材は本研究課題と密接に関連するが,世界的に見ても良い教科書が存在しないのが実情である.初心者にもわかるように,独自の視点や説明を取り入れて執筆している.
4.くりこみ群の話題として,自己重力に従って運動している粒子系の解析を試みているが,これはまだ具体的な成果には至っていない.
なお,2の成果も取り込んで,以前から投稿中の論文の最終版を作り,受理された(現在,印刷中).
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