研究概要 |
3年間の研究の初年度にあたり従来の研究のサーベイならびに最新の情報の収集を進め,生物学的同等性(bioequivalence)の中でも特に平均同等性を検証するための検定手法の最適性に関する研究を行った。共同研究者との論文講読のセミナーを通して従来の研究の理解を深め,問題の掘り起こしおよびその解決に向けたアイデアの提示などの議論を進めた。通常の単純帰無仮説の場合,統計的仮説検定と信頼区間には強い関連が存在することが知られているが,生物学的同等性の仮説の場合にはその関連がよく理解されていない。本研究では平均同等性を検証するための信頼区間による手法に着目し,最適性に関する研究を中心に考察を進めた。具体的には,Westlakeによる対称信頼区間による手法について検証し,仮説検定手法としての問題点を明らかにした。さらに,Westlakeの手法の改良を試みることでより優れた手法を開発し,Anderson-Hauckにより提案された既存の検定手法との興味深い関連を見出した。これらの結果については現在論文として取りまとめているところである。また,同等性の仮説検定法において障壁となる未知母分散の非有界性の問題に対して,二段階抽出法等により分散に関する情報を付加させた場合の検定手法の構成などについても研究を進めた。また,研究課題に関連して,生物統計学に関連する研究集会に積極的に参加し,今後の研究の方向性に影響を与えるであろう最新情報の収集と意見の交換を行うことができた。
|