研究概要 |
研究初年の昨年度に得られたAverage Bioequivalence(ABE)に関する,Anderson-Hauckの検定手法などの同等性の検定手法と信頼区間の関連性についての知見の進展,深化を目指して,研究2年目の本年度は次のような研究を行った。まず,ABEに対する検定における信頼区間を用いる方法の統一的な理解に向けた理論研究を行った。Anderson-Hauckの検定手法に対応する信頼区間の構成に成功したが,その検定のサイズは一般に有意水準を越えてしまうことが判った。これらの成果については,科研費シンポジュウム「統計的推測理論とその応用」で発表し,その意義や更なる問題点について深く議論する機会を得た。またその後は,検定のサイズを水準内に抑える構成法について研究を進め,確率不等式を用いる方法や計算機を利用して数値的に棄却域を決定する方法についてその有効性を検証した。一方,より複雑な生物学的同等性の概念であるPopulation Bioequivalence(PBE)やIndividual Bioequivalence(IBE)への結果の拡張,展開を研究した。本研究では数学,統計学の知識だけではなく,医学,薬学的な知識と理解が必要であり,関連する書籍,文献の講読にも力を入れた。また,初年度に引き続き,検出力と標本数の関係についてChow等の書籍の中で紹介されている方法論の数学的な検証と,検出力を変動係数の関数として評価する方法や二段階抽出による方法について研究を進めた。二段階抽出法に関する研究は研究分担者の高田を中心に進められ,その成果は論文として公表されている。
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