研究概要 |
(1)角柱ロッドのランダム充填に関して,システムが無限に大きくなるとき,その充填密度が3/4になる事,およびロッドの方向が統計的に等方的である事を,証明した。証明は、充填の問題をマルコフ連鎖で定式化できること,およびそのKolmogorov後向き方程式を偏微分方程式論を用いて解析することによる。この結果は,the 5^<th> International Conference on Stochastic Geometry (Palermo in Italy,6-11 September 2004)において発表した。また同内容の論文"Random Sequential Packing of Rectangular Rods"はRendi.Circ.Math.Palermo誌に投稿中である。 (2)円柱ロッドのランダム充填に関して,充填を効率的に行うことのできるアルゴリズムを開発した。アルゴリズムは,計算幾何学の分野で最も重要なアルゴリズムである直線のarrangementおよびVoronoi分割を融合させたもので,単純かつ効率的なものにすることができた。結果は,Japan Conference on Discrete and Computational Geometry (Tokyo,8-11 October 2004)において発表した。また同内容の論文"Random Sequential Packing of Circular Rods"は Springer Lecture Noteに投稿中である。 (3)円のランダム充填のあるモデルに関して,充填された円の半径の分布がパワー則に従う事を証明し,さらに充填されない領域のフラクタル次元を計算した。この結果は,Workshop on Stochastic Models and Discrete Geometry (Tokyo,24-25 March 2005)において発表する予定である。 (4)ランダム充填との直接の関わりはないが,球面上の最短ネットワークに関して,面の数が5の場合に,正3角柱に対応するネットワークが最短になることを証明した。この結果は,Tothの古典的な研究以来の,新しい発見である。同内容の論文は鹿児島大学教育学部紀要において発表した。 (5)やはりランダム充填との直接の関わりはないが,文字通りの古典的図形であるアルキメデス多面体の新しい構成法を発見した。この構成法はとくに3次元コンピュータグラフィックスに適切なものである。この内容は,東海大学のセミナーで発表した。論文はまだ発表していない。
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