研究概要 |
本研究では、オプション価格理論モデル[GLP&MEMM] Pricing Modelの構築とその応用を目指して研究を進めている。昨年に引き続きこのモデルの理論的深化を計ると同時に、数理ファイナンス理論の中での本モデルの役割と位置づけを明確にすることを試みた。さらに、モデルの有用性・妥当性の検証をするための理論的基礎を固めた。今年度のこれらの成果の上に、来年度にはモデルの適用法の開発および適用可能な対象の特定化を行うことを目指している。 1)宮原孝夫は、実際の市場が持っているとされるVolatility Smile/Smirk Propertyを上記モデルで実現可能であることをシミュレーションにより示した。さらに、このモデルを適用する際に必要となる適合度の検定に関する問題も検討した。そして、それらの結果をいくつかの学会(含む国際会議)で報告した。 2)三澤哲也は、上記モデルの推定の問題に関連しWavelet関数系を利用した統計解析手法の開発し、財政や金融データを対象とした実証分析を行った。また、リスク研究の一環として、電力市場の前日スポット価格の統計分析や気温オプション価格付け問題について研究した。 3)茨木智は、経済や金融データの評価や分類を目的としたデータマイニングから派生する問題に対して,包絡分析法やサポートベクターマシンなどのOR的手法をに適用することによって効率的に解を求めることを考察した。 4)藤原司は、多次元の幾何的Levy過程に基づく市場モデルについて考察し,十分一般的な存在条件の下で,最小エントロピーマルチンゲール測度の密度関数を明示的に与えた。さらにその結果に基づき,最終富の指数型期待効用最大化問題の解を明示的に導いた。
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