野性的空間、つまり多様体とは対照的に局所構造が複雑な局所連結な空間の基本群、ホモロジー群は非可算群となる。これを解明することを目標とした。この研究は野性的空間として典型的な空間の基本群を決定すること、あるいはホモロジー群の性質を調べる方向と、これらに関連する群の性質を調べる方向がある。後者は基本群に関して非可算非可換群が現れる。このような群を研究するため、inifinitary word(無限語)とSpecker phenomenonがカギとなる概念である。無限語の長さが可算の場合Specker phenomenonがうまく機能し、色々な研究が進んでいる。無限語の長さが非可算の場合、S.Shelahの結果により一般にはSpecker phenomenonが起こらないため研究が進みにくい。2007年11月筑波大学において無限語とSpecker phenomenonについて集中講義をした際えた考え方から、無限語の長さが非可算の場合の場合でも、準同型写像が決定できることがわかった。Specker phenomenonが起こらないため、可算の場合より複雑にはなるが、かなりのことがわかる。また、非可算の場合でも、無限語の順序に非可算整列順序、および非可算逆整列順序が埋め込まれない場合はSpecker phenomenonが起こることがわかった。 語の研究の一環で有限生成自由群の帰納極限であるGrope groupの研究を行った。Grope groupを一般的に定義するため、常に偶数個に分岐する無限木Tに対してGrope group G^Tが定義できる。Sを常に2個に分岐する無限木とする。G^SからG^Tへの非自明な順同型写像の存在と、Tがある節から先、Sと同型の木、つまり常に2個に分岐することが同値となることを示した。
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