研究課題
待ち行列システムに対し、多変量ベッセル過程による近似理論と占有時間問題の研究をおこなった。得られた成果は、つぎのようになる。(1)待ち行列システムに対し、多変量ベッセル過程による近似が得られたとき、この結果をもとに、システムにたいする占有時間問題を研究し、占有時間の近似過程(極限過程)が多変量ベッセル過程の局所時間や主値過程によって表されることを示した。(2)(1)で得られた占有時間問題の結果を利用することにより、次の結果が得られた。(い)近似過程としての多変量ベッセル過程を、システムへの到着過程に対応する部分と出発過程に対応する部分に分解することが可能になった。(ろ)(い)の結果を使って、より拡張されたシステムにたいする多変量ベッセル過程による近似が可能になった。(は)重負荷条件のもとに稼動する待ち行列システムの最適制御問題を取り扱うことが可能になった。(3)多変量ベッセル過程に対する伊藤公式の拡張-多変量ベッセル過程は一般的には、セミマーチンゲールとはならずいわゆるヂリクレー過程になる。さらに多変量ベッセル過程の特性から二回微分可能でない関数に適用できることが必要である。これにたいし、多変量ベッセル過程に対する占有時間問題を考察してその結果を使うことにより、伊藤公式の拡張が可能になった。この結果は(1)(2)の研究において基本的な役割をはたす。
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研究集会「確率論とその周辺」琉球大学 2005,9月