研究概要 |
本研究は,ロバスト最適化問題に対する最適性条件の解析および双対理論の構築,またこれらの理論的解析に基づいた数値解法の開発を目的としている。対象となるロバスト最適化問題は,不確定な要因をパラメータとして内包するmin-max問題として表現される。このような一般形に対して,昨年度は切除平面法に基づく汎用的な反復解法について考察し,特に各反復において緩和問題を近似的に解き,制約の最大侵害量の計算に必要な大域的最適化を近似的に行ない,さらに緩和されたパラメータ集合(モデル集合)の要素数の増大を防ぐ機構を組み込むことにより,汎用性の高い算法を開発した。本年度はまず,この汎用解法の具体的な応用として,状態軌道に関する不等式制約を持つ最適制御問題および一般化された静電容量問題への適用を行なった。いずれも無限次元の最適化問題として定式化される問題であり,数値実験を通して切除平面法に基づくアプローチの有効性が確かめられた。次に,ロバスト最適化の特殊な場合として,不確定パラメータが目的関数および制約関数に対して線形に作用する類の問題すなわちロバスト線形計画問題を考え,これに対する半正定値計画法あるいは2次錐計画法に基づく数値解法についての理論的考察ならびに数値的予備実験を行なった。後者については来年度にかけ研究を継続し,最終的に局所収束性にすぐれた算法の開発を目指す。以上の研究結果については,本年度中に,論文として1編が掲載され,2編が投稿中,また関連会議において1件の口頭発表を行なった。
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