研究概要 |
今年度は,重み付きSobolev-Lieb-Thirring不等式に関する結果を用いて,重み付きL^p Sobolev-Lieb-Thirring不等式が成り立つことを証明した.この結果は,調和解析における補外定理の証明と同様の手法を用いるものであり,非線型方程式への応用が期待される.さらに重み付きTriebel-Lizorkin空間において,ウェーブレットがGreedy基底を成すことを証明した.またこのことを用いて,重み付き空間の非線形近似による近似空間を決定した. また非線型ディラック方程式系,非線型シュレディンガー方程式,非線型波動方程式,非線型クライン・ゴルドン方程式の研究に加えてブシネスク系をはじめとする分散型方程式の研究,アロー・ワイスラー方程式の自己相似解や非線型楕円型方程式の解の挙動に関する研究も行なった. また有界正則関数環のShilov境界について,極集合がリーマン面の真部分集合となるときでも,Shilov境界極不連結となる場合があることを示した.また重みつきHardy空間H^pが重みつきl^qを補間できるための必要十分条件を与えた.特にq=1と∞のときに,その条件の違いを明らかにした.さらにBergman空間L^2_aを含む不変部分空間Mによって定義されるHankel作用素が有限階であるMを決定した.またRoucheタイプの定理をAdamyan-Arov-Kreinの定理を用いて与えた.その結果とDenjoy-Wolf pointの位置を用いて,unit discのself-mapの特長付けを与えた.
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