研究概要 |
可換Banach環のGelfand変換像を特徴付けることにより、可換Banach環の分類を行い、その本質を探ることが主目的であった。その為に関連したDossの定理を一般化すると擬位相という概念が自然に生まれる。このときDossの定理を再述する自然な擬位相が存在し、この擬位相で無限遠点の振る舞いを規制する新しい可換Banach環のクラスが生まれる。これを我々はBED環と呼んだ。また先の研究で、可換Banach環の乗作用素環のGelfand-Helgason-Wang変換像を特徴付けることにより、BSE環という可換Banach環の一つのクラスを研究して来た。従って我々は可換Banach環を4つのクラス:(I)BSE and BED,(II)BSE and not BED,(III)BED and not BSE,(IV) not BED and not BSEに分類することができる。前年度はそれぞれに属する環の具体例を調べ、ある程度豊富にあることが分かったが、今年度は無限次元compact可換群G上のL^P-環(1<p<∞)及び無限次元可換H^*-環がクラス(III)に属することが分かった。またクラス(III)に属する代表的な環の一つにA_τ-環がある事が前年度分かっていたが、この新しい環に端を発し、local multiplierと言う概念を導入してSegal環の一般化を試みある程度成功した。これは次年度に研究を引き継ぐ予定である。また可換Banach環の分類に関連して、ある種のHyers-Ulam stabilityに関する結果やある種の不等式に関する結果等を得た。 これらの結果はしかるべきジャーナルに掲載もしくは掲載予定である。詳細は研究発表の欄を参照されたい。
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