研究概要 |
微分方程式の比較理論の内で重要な話題であるところのSturm型比較定理を,4階常微分方程式に対して得ることが出来た.二つの4階常微分方程式に対して,いわゆる,ピコネ等式を確立してそれを用いて,解の零点に関する比較定理をつくることが出来た.今までに,2種類のピコネ等式が知られていたが,今度の新しいピコネ等式の出現により,4階常微分方程式系にたいしては3種類のピコネ等式が存在するという,今まで予想されていない結果が得られた.この事実は,半分線形の4階常微分方程式に対しても成立するかもしれないということで,今後の新しい展開を切り開いたものと思われる.更に,2階楕円型方程式で1階項を持つような非線形方程式に対して,ピコネ型不等式を確立することにより,Sturm型比較定理及び振動定理を得ることが出来た.非線形項は優線形項で,更に外力項を持つ方程式である.また,優線形項と劣線形項の両方を持つ場合の方程式に対しても,同様の結果を得ることができた.医学関連の数学モデルに対しても,その非線形解析を行うことにより,数理的進展がみられた.これは,血管の腫瘍をモデルとしており,数学的には,偏微分方程式系の自由境界問題として表現されるものである.また,数値的シュミレーションも行い,挙動が見えるようになってきつつある.勿論,上記の結果は,旅費を用いての研究打ち合わせに負うことが大で,研究代表者,分担者が学術交流を行ったことによる成果である.また,出張依頼をして,富山大学を訪問してもらい,研究上の打ち合わせをした結果,論文として成果発表できる見込みである.
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