研究概要 |
主要部がp-ラプラシアンの形をした半分線形楕円型方程式に対して Picone 等式を確立して,振動定理を得ることができた.また,外力項をもつ優線形楕円型方程式に対して Picone 型不等式を確立し,それを用いて振動結果が得られた.非線形項が優線形項と劣線形項の両方をもっている放物型方程式で,係数が時刻に依存している場合に,Picone 型不等式を確立した上で,振動結果と解の非有界性に関する結果を得た.2階中立型微分方程式で,正と負の係数をもつ場合に対して,全ての解が振動するための十分条件が得られた.また,準線形楕円型方程式で非線形項が優線形項と劣線形項の両方をもっている場合に,Picone 型不等式を確立し,振動定理を得た. 国際研究集会「Equadiff-2007」が2007年8月5-11日までオーストリアの首都ウィーンのウィーン工科大学で開催された.そこでは,「Oscillation criteria for a class of quasilinear elliptic equations via Picone-type inequality」の題目で講演を行った.その内容は,Proceedings of Equadiff-2007 に掲載される予定であり,既に原稿は送付済みである.様々な微分方程式の研究者と研究交流が出来て,大変有意義で効果的な海外出張であった. 2007年11月20日に富山大学理学部で研究集会「Toyama Conference on Differential Equations-2007」が開催された.吉田が研究交流をしているセルビアの数学者 J.Manojlovic を招待して開いた研究集会で,主に振動理論の研究者を招いた.小さい研究集会であったが,その分内容の濃い,深い議論が出来て大変有意義な集会であった.そこで,「Picone-type inequality and oscillation of a class of quasilinear elliptic equations」のタイトルで講演を行った.また,今後の共同研究の元となる話題について問題提起を行った. 研究分担者の小林久壽雄氏には確率解析的な立場から研究を分担してもらい,阿部幸隆氏には複素関数論的方面からのアプローチで研究協力をしてもらった.
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