研究概要 |
半分線形楕円型方程式に対してPicone等式を確立することにより,全ての解が振動するための十分条件を得た.また,非線形項が優線形項と劣線形項の和である場合に,Picone型不等式を確立し,それを用いて振動結果が得られた.4階常微分作用素に対してPicone等式を得て,それを利用してSturm型比較定理を得ることができた.主要部がp-ラプラシアンよりも一般の準線形楕円型方程式に対しても,半分線形の場合はPicone等式,非線形項が優線形項と劣線形項の和である場合にPicone型不等式を確立し,振動結果を得た。更に,外力項をもつような優線形楕円型方程式の振動定理も得られた。Picone型不等式を利用して準線形放物型方程式に対してもある種のPicone型不等式を創り,解の非有界性及び有界な解が振動するための十分条件が得られた.上記の結果はいずれもPicone(不)等式の重要性を再認識させたという点で,大きな意義があると思われる.関数変数放物型方程式,関数変数双曲型方程式に対して,ある境界値問題の解が振動するための十分条件が,関数微分方程式に帰着させることにより,確立された.正,負の係数を持つ中立型2階微分方程式の全ての解が振動するための十分条件を得た.これらの結果は,偏微分方程式の振動理論及び1変数の関数微分方程式の振動理論に大きく寄与したものと思う.国際究集会「EQUADIFF 11」,「Conference on Differential and Difference Equations and Applications」,「Colloquium on Differential and Difference Equations」,「EQUADIFF2007」において講演を行い,海外の研究者と研究交流ができて,最新の情報を得ることができ大変有意義であった.また,国内の研究集会に参加し,講演をすることにより研究成果を公表することができ,更に研究打ち合わせをすることができた.微分方程式の比較理論及び漸近的理論が大きく進展したものと確信している.
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