| 研究分担者 |
森本 芳則 京都大学, 総合人間学部, 教授 (30115646)
廣島 文生 九州大学, 数理学研究院, 助教授 (00330358)
熊ノ郷 直人 工学院大学, 工学部, 助教授 (40296778)
谷内 靖 信州大学, 理学部, 助教授 (80332675)
乙部 厳己 信州大学, 理学部, 講師 (30334882)
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| 研究概要 |
本研究課題の目的は、物理学で通常用いられている、区分的自由運動(折れ線)を用いて定義されるFeynman経路積分の研究を行うことであった。最初の計画は、具体的には、(1)摂動展開理論(2)量子連続測定理論(3)量子電磁気学理論の研究を行うことであった。いくつかの事情により研究計画の一部が変更されたが、以下の研究成果がこの3年間で得られた。
(1)物理学で通常知られている、母関数から相関関数を求める公式の数学的証明を与えた。即ち、[0,T]上のn次元実数値連続関数Jに対して、量子力学についての母関数Z(J)fはFeynman経路積分として存在し、JについてFrechet微分可能であり、JについてのFrechet微分が相関関数を与えることを証明した。
(2)位相空間上の汎関数z_j(q(t_j),p(t_j))の積に対する位相空間経路積分の存在を証明し、更にこの積分の作用素による表示を与えた。この結果から、Feymnan(1948),Feynmar Hibbs(1965)で発見的に与えられている多くの公式にその数学的定義を与え、又その証明を与えることが出来た。
(3)スピンを持った1個の粒子に対するFeynman経路積分の定義を与えることは、長い間未解決の問題であった(Feynman-Hibbs(1965)p.355,Schulman(1981))。本研究では、スピンを持った,有限個の粒子系に対するFeynman経路積分の定義を与え、その経路積分が存在し、粒子が1個の場合にはPauli方程式の解をあたえることを証明した。これにより、長い間の未解決問題が解決された。
(4)Feynman経路積分による量子電磁気学の数学的定式化の研究を行い、物理で通常用いられている拘束条件を用い、光子の振動数の高い部分を切断(紫外切断)するという仮定の下で、Feynman経路積分の存在を証明した。又、位相空間経路積分を用いることにより上記の拘束条件なしに、量子電磁気学が定式化できることも証明した。又、光芋の生成、消滅演算子を具体的に微分作用素として導入することにも成功した。
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