研究分担者 |
角谷 敦 広島修道大学, 経済科学部, 教授 (60248284)
山田 雅博 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (00263666)
石渡 哲哉 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (50334917)
山崎 教昭 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (90333658)
深尾 武史 岐阜工業高等専門学校, 一般教育科, 講師 (00390469)
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研究概要 |
平成16年度 形状記憶合金の力学的変化において,歪みと応力の関係は通常の関数関係ではなく,ヒステリシスと呼ばれる過去の履歴に依存する作用素によって表現される。従来,この関係はLandau理論に基づき多項式で近似されてきた。そこで,我々は,この関係をstop operatorというヒステリシス作用素の一種で表現した数理モデルを提案し,研究を進めてきた。本年度の最大の成果は,従前,応力に対する粘性がある程度大きくなければ問題の適切性が示せないという欠点を克服したことである。 平成17年度 今年度は,形状記憶合金問題に対する今後の研究の方向を決定づけるという非常に重大な結果を示すことができた。形状記憶合金そのものは,形状が目に見えるレベルで変化するにもかかわらず、現時点においてその形状変化を数学的に捉えようとする研究はまだない。それどころか,形状記憶合金を考察する際は温度変化も無視できないが,バネのように温度を考慮に入れないような現象に対しても形状変化を考えている結果はない。その理由は,数学的に非常に困難だからである。もう少し詳しく説明すれば,自由境界問題が多大な成果をあげたのは,もとの方程式が放物型だからである。バネの場合,もとの方程式は双曲型なので,スムージングエフェクトがないので,解析が簡単ではない。今の年度の最大の成果は,バネの方程式を近似した方程式に対する自由境界問題,すなわち,形状変化を考こ慮した問題を数学的に扱えるようになったことである。 平成18年度 前年度,形状記憶合金問題を記述する基礎方程式を見直す過程で,バネの時間変化を記述する自由境界問題を導出した。バネの時間変化は,空間変化を無視した常微分方程式か,バネの延びを小さいと仮定した双曲型方程式をもって数学的に解析が進められてきた。そのような形でバネの形状変化が扱われてきたため,形状記憶合金の形状変化も同じように解析がほとんどされていない。この間題の研究を進めて,最終的には形状記憶合金の形状変化を数学的に解析していく。今年度は,その問題に対する解の一意性を証明することができた。また,解の大域的存在を示すための研究も引き続き行った。しかし,今年度,そのことを示すことはできなかった。それは,モデルの構成がうまくいっていなとも原因の一つとして,考えている。従って,今後モデルの再検討も視野に入れて研究を進めていく。
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