研究概要 |
平成16年度(2004)は主に次の研究を行った。 1.離散群(クライン群)のヨルゲンセン数の研究;2.放物型のヨルゲンセン群の研究;3.古典的ショットキイ群によるリーマン面の一意化 今年度は複素解析学だけでなく解析学,幾何学,代数学などさまざまな関連分野の研究集会に参加し,出席者とヨルゲンセン群及びショットキイ群について討論・情報交換を行った。すなわち,上記研究目的を達成するための準備を行った。研究実績の詳細は次の通りである。 1.離散群(クライン群)のヨルゲンセン数の研究 メビウス群の2元生成部分群Gがクライン群であるためにはそのヨルゲンセン数J(G)は1以上でなければならない.「実数r≧1に対してJ(G)=rとなるクライン群Gは存在するか」という問題を考察し,次の進展があった。 (1)rが自然数のときはJ(G)=rとなるクライン群の存在は我々の研究ですでに予測できたが,今回これの厳密な証明を与えた. (2)r>4なるrに対してはJ(G)=rとなる古典的ショットキイ群Gが存在することが分かった。 2.放物型ヨルゲンセン群の研究. ヨルゲンセン数が1となる非初等的な2元生成離散群をヨルゲンセン群という.ヨルゲンセン群には放物型と楕円型があるが,ここでは放物型について考察した.放物型には3つのタイプ(有限型、可算無限型、非可算無限型)があるが2004年に可算無限型のすべてのヨルゲンセン群の発見を発表した(研究発表の欄参照)。また,非可算無限型の場合は2005年に出版予定である(研究発表の欄参照)。残る有限型の場合は今年フィンランドで開催される国際学会で講演し,その後専門誌に投稿を予定している。今後は楕円型のヨルゲンセン群の研究が主目標になる。 3.古典的ショットキイ群によるリーマン面の一意化 種数g=2の場合,すなわち一番簡単な超楕円面の場合,リーマン面の古典的ショットキイ群による一意化および超楕円面の分岐点をパラメータとして古典的ショットキイ空間の形状を考察した。現在のところ、新しい結果はまだ得られていない。 上記で得られた結果は,2004年8月の複素解析国際会議及び12月中国青島海洋大学での招待講演で発表した。
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