研究分担者 |
水田 義弘 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00093815)
天野 要 愛媛大学, 工学部, 教授 (80113512)
増本 誠 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50173761)
米谷 文男 京都工芸繊維大学, 大学院・工芸科学研究科, 教授 (10029340)
伊藤 雅明 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10116535)
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研究概要 |
この研究課題ではリーマン面の等角写像(とくに双曲的距離や双曲的構造)および流体力学(とくに管内の粘性流)との関係を研究しようと企てた.前者については,circularizable domainsの概念を得るとともに,これがリーマンの写像定理の延長線上にある自然な概念でリーマン面に作用する不連続群(たとえばリーマン面として単位円板や上半平面,不連続軍としてFuchs群を考えることができる)の基本領域を構成する際に,新しく重要な手段を提供することなども示した.後者については,管内の粘性流がリーマン面の双曲的な構造などと深い関連を持つことをすでに研究開始の時点において予想していたが,その予想の正当性は最終年度の後半になって漸く確認に漕ぎつけることができされた.この研究に1つの区切りをつけて成果を明確にするために,研究成果報告書の提出を敢えて半年間遅らせたが,この間に纏めた成果を2007年秋の日本数学会において発表した.また6月にドイツで開かれた研究集会においても一部を発表して意見交換を行った.これらを論文の形で公表することは今後の課題である.粘性流とリーマン面の等角写像に関して得られたPoiseuilleの流れの一般化は,未知の部分が多いが,従来殆ど研究されてこなかった興味深いテーマの1つであり,今後も継続的に研究したいと考えている.すでに今回得られた結果の別証明を含む新しい問題を開拓しつつある.また,リーマン面の等角的埋め込み理論の応用として,古典的単葉関数論においても新しい結果(米谷の問題に対する答えを含む)が得られることも示した(論文として出版済み).
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