研究課題/領域番号 |
16540161
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
門脇 光輝 愛媛大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (70300548)
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研究分担者 |
定松 隆 愛媛大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10025439)
猪狩 勝壽 愛媛大学, 大学院理工学研究科, 教授 (90025487)
伊藤 宏 愛媛大学, 大学院理工学研究科, 教授 (90243005)
渡辺 一雄 学習院大学, 理学部, 助手 (90260851)
中澤 秀夫 千葉工業大学, 工学部, 講師 (80383371)
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キーワード | 消散作用素 / シュレディンガー方程式 / 波動方程式 / 重ね合わせの原理 / パーセバルの等式 / 散乱理論 / 漸近完全性 |
研究概要 |
1.有限区間での消散的波動方程式に対する解の固有関数展開 1次元有限区間における消散境界条件付きの波動方程式に対して、通常のディリクレやノイマン条件付きのものと同様にパーセバルの等式の成立と解が固有関数の重ね合わせで記述できる(固有関数展開可能である)ことを示した。証明は、変数分離法に基づき、通常のフーリエ級数の理論に帰着するもので初等的になされる。ただし、ディリクレやノイマン条件ようなの自己共役系または自己共役系に帰着できない問題であるので、固有関数展開は、考える区間上での2乗可積分空間ではなく、生成作用素が消散作用素となる波動方程式のエネルギー空間で表現される。そして初期条件に滑らかさなどの条件をさらに追加することで、古典解として表現されることも示した。 2.Lax-Phillips的に定義された出行入来部分空間と漸近完全性の証明 シュレディンガー方程式や波動方程式などに対する散乱理論で重要な性質である漸近完全性を示すためのある方法を考案した。具体的には非摂動系の出行、入来部分空間をLax-Phillipsの方法(1967)的に定義した上で、Enss-Perryの方法(1980)にしたがって漸近完全性を示すものである。Lax-Phillipsにおける出行、入来部分空間は、生成作用素が本質的にラプラシアンに限定して、ラドン変換した後の変数の符号で定義されており、ダイレーションの生成作用素のスペクトルの符号で定義したEnss-Perryのものよりも簡潔といえる。その反面Lax-Phillipsの方法における漸近完全性の証明は摂動クラスの制限が強く、シュレディンガー散乱で扱いたいクラスの摂動を扱うのは難しい。 考案した方法では非摂動系に対する一般化されたフーリエ変換に関する変数の動径方向に対して逆フーリエ変換し、その変数の符号で定義している。もし、非摂動系の生成作用素がラプラシアンならば、この定義はLax-Phillipsのものと一致する。この意味でLax-Phillipsの定義の拡張ともいえる。そして、この方法を摂動された平行板領域を伝播する波動に対して適用して漸近完全性を示した。
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