研究概要 |
平成18年度の研究実績の概要は以下のとおりである. 1.平成17年度に引き続き,符号不定な重み関数をもつ線形楕円型固有値問題の正値主固有値の発散についてノイマン境界条件のもとで考察した.この問題はロジスティックタイプの非線形楕円型境界値問題を恒等的零解で線形化したときに現れることに注意する.本年度は特に空間1次元の場合に考察を制限して,発散のための重み関数の必要性と十分性をより精密に調べた.結果,空間1次元の場合には,符号不定な重み関数の正値パートと負値パートの領域上の積分値に対する比が,二つの条件の臨界状況に本質的な役割を果たすことが理解できた.ただし,この理解は重み関数が単関数のあるクラスに属する場合についてのみであり,より一般の重み関数に対しては現在のところ未解決である.しかしながら,得られた結果は今後の考察の出発点になると考える. 2.上記1の結果を含む内容の研究成果発表を以下のとおり行った. (1)Blowing-up behavior of principal eigenvalues for Neumann boundary conditions, The first China-Japan Colloquium of Mathematical Biology, The first China-Japan Colloquium of Mathematical Biology(西南大学,中国),平成18年4月25日. (2)ノイマン条件のもとでの主固有値の爆発問題,数理科学セミナー(茨城大学教育学部),平成18年9月10日. (3)ノイマン条件下における主固有値の爆発問題,応用解析研究会(早稲田大学理工学部),平成18年12月2日. (4)Blowing-up principal eigenvalues of Neumann eigenvalue problems with indefinite Weights,解析セミナー(筑波大学数学系),平成18年12月20日. (5)主固有値の爆発と人口動態,日本数学会平成19年年会函数方程式論分科会一般講演(埼玉大学理学部),平成19年3月28日.
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