研究概要 |
主に次の3つのテーマについて研究を行った (1)ハーディ空間の応用-補間法:Littlewood-Paleyのg-作用素およびLuzinのarea作用素のL^P有界性(1≦p≦2)について調べた。結果自体は90年代にAnler and Louheにより得られているが、研究では実ハーディ空間H^1(G)の応用として、補間法による証明を試み成功した。半単純群上でg-作用素を考えるとき、指数増大度の関数e^<σX>を付加する形で一般化することができる。しかし残念なことは補間法による証明ではσが線形に補間されるが、Anler and Louheの用いたKunze-Stein現象を用いる証明では線形よりも大きなσに対して有界性を導くことができる。すなわち、Kunze-Stein現象は補間法よりも強力であることが分かった。 (2)フーリエ・ヤコビ変換におけるハーディの定理と不確定性原理:のハーディの定理に関しては、宮地型およびBonami型のハーディの定理をフーリエ・ヤコビ変換に拡張した。方法は熱核の性質およびフーリエ・ヤコビ変換がラドン変換とCosin変換の合成であることを使い、ユークリッド空間の両定理に帰着させる方法を用いた。不確定性原理に関してもユークリッド空間と同様な方法で不等式を得ることができた。問題は離散和の項が存在する場合で、この場合の不確定性原理は調べられていないと思う。研究では離散和の存在が、関数の集まりと拡散にどのように影響するのかを調べた。 (3)SU(1,1)の調和解析への拡張:SU(1,1)上ではハーディの定理が成立しないことが知られている。今回、フーリエ・ヤコビ変換の熱核の性質を詳しく調べ、ハーディの定理の仮定をみたす良い関数は一意には決まらないが、その境界値を特徴付けることができた。不確定性原理に関しては現在、研究途中である。
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