研究課題/領域番号 |
16540174
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小林 和夫 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30139589)
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研究分担者 |
高木 悟 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助手 (50367017)
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キーワード | 退化放物型-双曲型 / 初期値-境界値問題 / Renormalized Solution / Entropy Solution / Dissipative Solution / Kinetic Formulation |
研究概要 |
放物型-双曲型(退化放物型)方程式に対する初期値-境界値問題のエントロピー解について研究を行った。研究初年度である本年は、エントロピー解の一意性および構造を理論を中心に研究を行った。研究方法は、実解析的、測度論的そして函数解析的扱いを基調としている。 1階双曲型(保存則)に対する弱い解の概念には、2つの主なものがある。ひとつはL.C.Evansにより導入された消散解で、他の一つは、Kruzukov-Benilanにより導入されたエントロピー解である。本研究では、有界でない解を扱うことができるよう解の概念を拡張し、再正規化消散解を導入し、これが再正規化エントロピー解と同値であることを証明した。方程式の近似問題の重要な一つであるRelaxation法においては、消散解の概念の方がエントロピー解より扱いやすい長所があるが、この同値性により消散解で考えることの正当性が保障される。さらに、この議論を2階の退化放物型-双曲型方程式の場合に拡張した。すなわち、2階の退化放物型-双曲型方程式に対してPerthame-Souganidisにより導入された(再正規化)消散解と(再正規化)エントロピー解は同値であるという結果を得た。そして、その結果を、2階方程式に対するRelaxation法において応用した。 もう一つの研究は、初期値-境界値問題をKinetic理論の立場から研究を行った。保存型1階方程式の初期値-境界値問題のエントロピー解の存在と一意性をKinetic Formulationの切り口から研究を行っている。この方法の長所はフーリエ変換などの線形理論を使うことができるので、より良い結果が得られることが期待される。
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