研究概要 |
1.劣線形楕円型偏微分方程式に対して,非線形項が奇関数と限らない場合でも,解が無限に多く存在する事を証明した.これは,対応するラグランジェ汎関数を偶汎関数からの摂動と考えることにより,汎関数の対称性をうまく利用して,解の多重存在を証明したものである.優線形楕円型偏微分方程式においては,類似の結果が知られているが,劣線形方程式では解の多重存在は,ほとんど研究されていない.この結果は,Calculus of Variations and Partial Differential Equationsから出版予定である. 2.symmetric mountain pass lemmaに関連した新しいcritical point theoremを発見した.symmetric mountain pass lemmaは,ある仮定のもとに,バナッハ空間上の偶汎関数が零に収束する臨界値の列を持つことを保証する.私は,同じ仮定のもとに偶汎関数が零に収束する臨界点の列を持つことを証明した.これらの2つの結果は,非常に似通って見える.しかしながら,一般に臨界値の列が零に収束しても,それに対応する臨界点の列は,零に収束しない.そのような例を,私自身で構成している.従って,私の結果は,自明なものではなく,従来のsymmetric mountain pass lemmaに1項目を追加する結果となる.それを使うと,劣線形楕円型方程式に対してかなり弱い仮定のもとで無限に多くの解の存在が証明できる.この結果は,国際研究集会WCNA2004(フロリダ,2004年6月30日〜7月7日)で講演した.さらに,国内の研究集会,2004年9月(愛媛大学),2004年11月(宮崎大学),2004年12月(中央大学)においても講演をした.
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