研究概要 |
1.退化放物型方程式の解の漸近挙動について詳しい結果が得られた. 特に,∞ラプラス作用素を含む放物型方程式の特別解を楕円関数を用いて,具体的に表示した.この特別解と比較定理を用いて,すべての解の減衰度が得られた.さらに,空間1次元のとき,すべての定常解をその零点の個数によって特徴づけた. 2.半線形楕円型方程式において,比較定理が成り立つための必要十分条件は,方程式が劣線形となることであることを証明した.また,最大値原理,比較定理を用いて,正値解の最大値を領域の大きさによって評価した.劣線形方程式では,正値解が最も大きな解であるため,この結果は,正値解と限らないすべての解に対するアプリオリ評価となる.領域が大きい場合,解は大きくなり,領域が小さいとき解も小さくなる.領域の厚さを使った正値解の最大値に対する評価式を与えた. 3.係数関数が特異性を持つ1次元pラプラス方程式の解の正則性を証明した.すなわち,境界で零ディリクレ条件を満たす解は,境界まで込めて1階連続微分可能となる.またこれを使って固有値の存在と固有関数の零点の個数についての結果が得られた.線形の固有値問題と同様にk番目の固有関数は,定義区間の内部にちょうどk-1個の零点を持つ.また,方程式の斉次性により,各固有空間は,1次元となる. これらの結果は,その一部を学会,研究集会で発表した.今後残りの結果も発表予定である.また論文として投稿するための執筆中である.
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