研究課題
物理的モデルの一般化とみなされるCスター環上の流れについての研究に主に時間を割いた。具体的には、30年以上の懸案ともいうべき「内部近似可能な」流れの、局所的、または、内部的とみなされうる特徴づけ(好みの近似列を得るに有用なもの)を試みたが失敗した。また内部近似性のふたつの形(離散的と連続的)に、果たして違いがあるのかどうかも決定できなかった。その代わりに次の問題に対する一定の結果を得た。ある流れが、ある流れの列で近似できるとき、生成作用素の言葉で表現すれば、その生成作用素は、生成作用素の列のグラフ極限になる。非有界な生成作用素は有界な生成作用素のグラフ極限になりえても、各点収束の意味での極限にはなりえない。(ただし、既約な共変表現の存在を仮定する。この仮定は、内部近似可能という条件から、ほとんどの場合、導かれるが、いつでも導けるかどうかは分からない。)これは、ヒルベルト空間上の作用素とは大いに異なるところである。近似列の選択によって各点収束する領域をどの程度大きくできるかというのは、上述の内部近似性のふたつの形に関係しているが、今後の問題である。その対極に位置するRohlinの性質を満たす流れについて数年来の研究をまとめた。(この性質をみたす流れにはいわゆる「平衡状態」が存在しない。したがって、どういう物理的状況を記述しうるかというのは面白い問題であるように思われる。)KirchbergといわれるCスター環上でこの性質をみたす流れの存在を示した。これは結局、このクラスのCスター環の「テンソル積に関する単位元」に相当する特別な環(K0が無限巡回群であるようなCuntz環)上でのこの性質をもつ流れの存在の問題に帰着する。この外部共役類の分類の問題はまだ分からない。
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すべて 雑誌論文 (3件)
Journal of Functional Analysis 235
ページ: 271-296
Letters in Mathematical Physics 77
ページ: 283-290
Methods Appl.(SIGMA Symmetry Integrability Geom.) 2, paper018
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