研究概要 |
主として場の理論に付随して現れる古典および量子可積分系とその離散化について,主に対称性の観点からの普遍的理解をめざし,新たな構造や視点を得ることが本研究課題の主目的であった.17年度において各研究者は互いに議論しつつ以下のような成果を得た. 長谷川は,パンルヴェ方程式を含むアフィンワイル群対称性をもった方程式について,その量子差分化の研究を行った.とくに,梶原-野海-山田による差分パンルヴェ方程式の解空間へのアフィンワイル群作用の量子化について考察を深めつつ,神保と坂井による第6パンルヴェ方程式の差分化に対しその量子化を構成した(論文を準備中). 黒木は,モノドロミー保存変形の理論の量子化と差分化について一般的に考察した.とくに,梶原-野海-山田によるアフィシワイル群作用の長谷川による量子化について,dressing chainおよび幾何クリスタルとの関連の観点からの再構成を行った. 山田は,パンルヴェ型方程式の量子化について,長谷川の院生である名古屋創と議論した.また退化した場合も含めて,q-Painleve方程式の超幾何解を構成した.更に,そこで用いた方法を微分Painleve方程式のHamiltonianに応用した. 池田は,同変コホモロジーを用いてSchur Q-関数を幾何学的に捉えるという目標を達成し,"Schubert classes in the equivariant cohomology of the Lagrangian Grassmannian"にまとめた(単著,投稿中).トーラス作用の固定点への局所化によって特殊多項式を研究するという視点が実り多いものであるということが,この成果によって再認識できた.
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