研究課題
「モノドロミ可解性」という問題をかかげたが、それ自身の定義を数学的に厳密にすることが最大の問題であった。本年度では「線型モノドロミが梅村の意味で古典数による表現を持つ」という性質にたどり着いたことは、本研究において精神的には大きな成果であった。具体的な成果は、奥村昌司・金子和雄らとの共同研究において、第3、第5パンルヴェ方程式のモノドロミ可解な解を一般的なパラメタにおいて構成したこと、第6パンルヴェ方程式のモノドロミ可解な解を特殊なパラメタにおいて構成したことの2点である。また、これらの研究を通じて、モノドロミ可解なパンルヴェ函数として、ブリオ・ブーケ型、被覆型の二つが存在すること、また代数解は両者に含まれるが、被覆型としてみることで変形パラメタによらない表示ができることがわかった。現時点で、第1から第5までの不確定特異型のパンルヴェ方程式の被覆型の解については、合流超幾何方程式の被覆としてほぼ全体像がつかめるようになってきている。また、代数解については「パンルヴェ方程式の代数解に対して、有理変換+ゲージ変換によって線型方程式は変形パラメタによらない式に変換できる」というR.フックスの予想が第6以外ではほぼ正しいことがわかった。また、本研究の目標とはずれるが、修士課程2年の松田一秀くんがA4型パンルヴェ方程式の有理解を完全に分類した。このようなパンルヴェ方程式の一般化に対してもモノドロミ可解性を考えることは重要であり、今後の突破口になるであろう仕事である。また、モノドロミ可解な解のベックルント変換を考察することで、第2パンルヴェ方程式においては代数的な手法のみでモノドロミを決定できる事を示した。他の場合にも同様であろうと思われる。A4型パンルヴェ方程式の結果と合わせて、来年度以降の研究に発展していく結果となった。
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