研究概要 |
1.三木は以下の研究を行った.昨年度sl2型のトロイダル量子群のボゾンによる表現を調べることを通して,xy=γ^2yxをみたす2変数x,yのローラン多項式のなすリー代数(の中心拡大の普遍包絡代数の)q変形A_<q,γ>を定義していた.この代数は,大雑把に言えばトロイダル量子群の行列の対角成分に対応する代数であり,W_<1+∞>代数の2変数q,γによる変形とも言える代数である,この代数Aq,γに関して,(1)ボゾンによる表現のN個のテンソル積表現からFrenkelとReshetikhinおよび白石とその共同研究者たちによるq変形されたW_N代数(N=2のときVirasoro代数)の自由場表示が得られることを示した.(2)準有限な(つまり各ウエイト空間が有限次元の)既約最高ウエイト表現がある種の有理関数で特徴づけられることを示した.(3)q=e^h,γ=e^<β,h>とおきh→0とする極限(Yangian極限)を調べた.この極限の特別な場合に,代数.A_<q,γ>はヴィラソロ代数とボゾンのなす代数となり,その余積は10数年前にLevendorskiiとSudberyにより得られていたものとほぼ同じものになる. 2.伊達は,カイラルポッツ模型に対するBethe仮説に関係して現れる多項式の満たす微分方程式などについて,調べた. 3.山根はHeckenbergerとの共同研究でスーパーリー代数またはニコルス代数の研究をするためにコクセター半群の概念を導入し,コクセター半群の同じ長さをもつ2つの元はコクセター関係式のみで移りあう事,すなわち松本の定理を示した.
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