研究概要 |
1.3次元ユークリッド空間内にはめ込まれた曲面に対する非等方的表面エネルギーの臨界点(非等方的平均曲率一定曲面)について研究した.特に,非等方的表面エネルギーが回転対称であって「凸性条件」を満たす場合を扱い,平行な二平面上に自由境界を持つ埋め込まれた曲面であって,体積一定の条件のもとでの非等方的表面エネルギーと濡れエネルギーの和の臨界点となっているようなものについて研究し,次の成果を得た. (1)濡れエネルギーの係数が非負である場合について,安定解を決定した. (2)濡れエネルギーの係数が負である場合について,安定解の幾何学的性質を解析した. (3)平成16年度に得た結果(境界のない臨界点は(平行移動と相似を除き)ウルフ図形であること.中央にbulgeを持つ非等方的平均曲率一定回転面の,回転軸方向に対称なすべての部分についての安定性の判定.ウルフ図形の任意の部分のエネルギー最小性.その他)と上記(1)及び(2)の結果を論文にまとめ,国際的に評価の高い学術雑誌に投稿して受理された. (4)濡れエネルギーの係数が非負である場合について,安定解の存在と一意性,幾何学的性質を決定した. なお,上記研究成果の特別な場合として,平均曲率一定(CMC)曲面に対する結果が得られるが,それらの多くはCMC曲面についての結果としても新しいものである. 2.曲面の2次元複素空間へのラグランジアンはめ込みの可能性とラグランジアン角度等の関係について研究した. 3.離散化を伴う曲線の可積分な運動について研究し,特に曲率がBurgers方程式に従う複素双曲線内の曲線の運動が自然な離散化に由来することを示した.
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