研究分担者 |
牧野 哲 山口大学, 工学部, 教授 (00131376)
柳 研二郎 山口大学, 工学部, 教授 (90108267)
栗山 憲 山口大学, 工学部, 教授 (10116717)
西山 高弘 山口大学, 工学部, 助教授 (60333241)
増本 誠 山口大学, 理学部, 教授 (50173761)
|
研究概要 |
浅い水の波のモデル方程式として最近注目されているCamassa-Holm (CH)方程式とDegasperis-Procesi (DP)方程式に関して以下の成果を得た. 1.Camassa-Holm方程式 CH方程式は浅い流体の表面を伝播する弱非線形波の時間発展を記述するモデル方程式である.これは完全可積分なソリトン方程式であるがその構造はKdV方程式に代表される典型的なソリトン方程式とは異なっており,このことは解の性質にも反映している.ここではCH方程式をホドグラフ変換で既知の可積分なソリトン方程式に変換し,これのソリトン解を用いてCH方程式の多重ソリトン解を構成した.解はパラメータ表示でのみ表現できる点が従来のソリトン解の表式と異なる.さらに解の時間無限大での漸近形を調べ,各ソリトンの位相のずれに対する公式を導いた.通常のソリトンの相互作用においては大きなソリトンは正の,小さなソリトンは負の位相のずれを各々生じるのに対し,ここで得たソリトン解には小さなソリトン解の位相のずれも正となるケースもあるという著しい結果を得た.さらに零分散極限(いわゆるpeakon極限)での位相のずれの公式も導き,これが零分散CH方程式のpeakon解の対応する公式と完全に一致することを示した. 2.Degasperis-Procesi方程式 DP方程式も完全流体の基礎方程式系から導出されたモデル方程式であるが,CH方程式とは異なる数学的構造を有する.ここではCH方程式の解法に用いたのと同様な手法によりDP方程式のソリトン解(特に1-ソリトン,及び2-ソリトン解)を求め,その性質を詳細に調べた.その結果,ソリトンの振幅はその速度に非線形に依存することが明らかとなった.CH方程式の対応する関係式は線形でありこの点が大きく異なっている.また解の零分散極限も調べ,零分散DP方程式のpeakon解と一致することを示した.さらに一般の多重ソリトン解も構成し,解の漸近的性質を明らかにした.特に,位相のずれの公式やこれの零分散極限での公式を導いた.
|