研究概要 |
準線形退化楕円型方程式の研究である。Orlicz-Sobolev空間における変分法を適用することにより、主要部にφ-Laplace作用素が現れるときのDirichlet型境界値問題を考察した。主な結果は解の存在定理である。これは、主要部をべき乗型に限定しなくても、かなり一般の形の非線形項をもつ楕円型方程式に適用される。以下ではφ(t)t=Φ'(t)とする。 1.【非線形性が劣臨界型のとき】非負・非自明な解の多重性を示した。すでに古典的なconcave-convex条件よりも広い条件φ(t)t=o(f(x,t))at t=0 and ∞の下で解の存在を論じたことがあるのだが、ここでは逆の状況f(x,t)=o(φ(t)t)at t=0 and ∞において同様の問題を扱った。さらに主要項を拡張した形の方程式を考えた。 2.【非線形性が臨界型のとき】通常のconcentration-compactness principleを非斉次な場合に拡張することにより非負・非自明な解の存在を示した。一つの例として、これはΦ(t)=t^p log(1+t),p>1,の場合に適用できる。 3.【C^1級でない汎関数のとき】主要部が極端に緩やかな増大度をもつ汎関数の変分問題について低階の項にOrlicz-Sobolev型の臨界項が現れる場合を調べた。この汎関数は、Gateaux微分は可能であるが、一般にFrechet微分は不可能である。それでも非負・非自明な解の存在を示すことができた。これは例えばΦ(t)=t log(1+t)などに通用する結果である。
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