研究概要 |
粘性双曲型保存則の方程式系の持つ非線形波の安定性の研究はひとつの中心的なトピックスである.その非線形波である粘性衝撃波,希薄波の安定性に関する研究課題が大きいものであった.未解決の問題として,連立系の方程式に対して,積分平均がゼロでない擾乱の場合の粘性衝撃波の安定性を示すことがあるが,接触不連続波に関する分担者の結果が出版された.粘性衝撃波の場合や粘性衝撃波と希薄波の重ね合せに漸近が予想される場合のヒントとなるかもしれない. 上記の問題から派生して,2階消散型波動方程式の解が時間発展と共に拡散現象をもつことが観察されるようになった.このことから,半線型消散型波動方程式の解の挙動が,対応する半線型熱方程式のそれと同様となることが期待される.実際,本年度の研究においても半線型項が吸収効果を持つ場合の解の減衰,漸近形が熱方程式のそれと同様となることが,昨年度の研究から発展して,空間3次元ではある程度望ましい結果を得た.さらに,半線形項の指数がちょうど臨界指数の場合や臨界指数より小さい場合の漸近形については依然として未解決であり,その解決は解の正値性がなければかなり難しいであろうことが逆に判明してきた.これらに関しては,論文として投稿しすでに掲載決定となっている.同時に,これらの結果は内外のシンポジウム(「流体と気体の数学解析」,京都大学(2005年7月),Conference "Self-similar solutions in nonlinear PDE's", Banach International Mathematical Center, Poland(2005年9月),「偏微分方程式の諸問題」,東海大学(2005年10月-11月)等)で報告をした.
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