γ線バースト(GRB)の可視残光の観測は、衛星で検出されたGRBを地上観測装置で追跡観測することで行われてきた。このような観測システムでは、GRB発生から地上観測までの時間的な遅れのため、GRB発生時の可視閃光やGRB発生直後の残光を観測することは不可能である。 GRB発生前後の可視光観測を行うためには、広視野を監視してGRBを待ち受けるタイプの観測システムが必要である。我々は広視野を高時間分解能で観測する2種類のカメラを試作し性能評価を行った。1つは冷却CCDカメラに写真用レンズを組み合わせたカメラで、もう1つは蓄積型ビデオカメラにCCTV用レンズを組み合わせたカメラである。前者は測光精度が高く、後者は時間分解能が高いという特徴を持つ。 我々は前者のカメラを用いて、2004年12月13日から常時観測を開始した。観測装置は冷却CCDカメラ(BITRAN BT-241L)に写真用レンズ(ニコンAi AFNikkor28mmF1.4D)を取り付けた広視野カメラで、視野は66×47度である。露出時間15秒での極限等級は視野中心で約11等級、視野中心から半径17度以内は極限等級が10等級以上である。カメラは宮崎大学工学部屋上にあるロボット望遠鏡(RIMOTS)の観測室内に設置され、ネットワークを介して研究室から遠隔制御される。観測は視野の中心を方位角180度、高度+58度に向け、15秒間の固定撮影を23秒間隔で繰り返すことで行われる。一晩に約1700枚の画像(20GB)が取得される。3ヶ月間観測を行ったが、GRB閃光はまだ観測されていない。
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