γ線バースト(GRB)の可視残光の観測は、衛星で検出されたGRBを地上観測装置で追観測することで行われてきたが、このような観測システムでは、GRB発生から地上観測までの時間的な遅れのため、可視閃光やGRB発生直後の残光を観測することは不可能である。我々は、これまで観測が行われていないGRB発生前後の残光観測を行うために、広視野を高時間分解能で常時観測する観測システム、Miyazaki Wide-field Monitor(MWM)を開発した。 MWMは、冷却CCDカメラと写真用レンズを組み合わせた3台の広視野カメラ(カメラA、B、C)、赤道儀架台、制御用コンピュータで構成され、宮崎大学工学部屋上の観測室内に設置されている。力メラの視野は66°×47°(カメラA)、30°×30°(カメラB、C)、露出時間15秒での限界等級は11.0等級(カメラA)、11.5等級(カメラB、C)である。観測装置は研究室のコンピュータから遠隔制御され、自動観測を行うことができる。 2004年12月〜2006年12月は、カメラAのみで固定撮影の観測を行った。観測方向は、方位角180度、高度+58度の方向で、露出時間は15秒である。観測室の整備が完了した2007年1月からは、カメラA、B、Cを赤道儀に搭載し、GRB観測衛星SWIFTの視野を追尾して観測を行っている。観測開始からこれまで、MWMの視野内に5回GRBが発生したが、天候不良により閃光・残光の観測には成功していない。今後観測を継続していけば、年1〜2個のGRB残光を観測することが期待できる。
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