研究課題
本研究の目的は、未だ解明されていない早期型星からのX線放射機構について、輻射輸送を考慮した衝突輻射モデルを構築することで議論することである。そのため、本研究ではその衝突輻射モデルを構築するといういうことと、現在打ち上げられている2つの衛星(ChandraとXMM-Newton)により観測された早期型星のX線スペクトルの解析という、理論と観測を平行して進めている。平成16年度は、輻射モデルの構築とChandra衛星により観測された星のデータ解析を計画していた。輻射モデルの構築の点では、現在輻射輸送を考慮したモデルを構築するには至っていない。しかしながら、計画していた水素様とヘリウム様イオンのモデルだけでなく、L殻鉄イオンのモデル構築を推し進めることが出来た。これにより、観測されているより多くの輝線の解析を行うことができる。ヘリウム様イオンや、L殻イオンの衝突輻射モデルに関しては、既に日本天文学会の2004年秋季年会や、分光関連の研究会(核融合科学研究所)、また国際会議(第14回土岐カンファレンス)等で発表を行っている。それにより、我々のモデルは、現段階でも他波長での利用も検討されるに至っており、平成17年度は、国立天文台と核融合科学研究所の連携研究、EUVスペクトルに関する研究への参加も行なう。Chandra衛星のデータ解析は、現在アーカイブ化されている全ての早期型星に属するOB型星のデータについて行った。特に、早期型星のX線放射機構として有力と考えられている、星風モデルを用いて解析を行っている。早期型星のうち、τSco、δOri、ζPupの3つの星は、星風モデルによる解析結果を論文にまとめ、現在雑誌(PASJ)に投稿中である。それ以外の星の解析結果は、今年度末に開催される日本天文学会2005年春季年会で発表を行なった。平成17年度に、これらの結果をまとめ、国際会議等に出席し、論文として投稿する予定である。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
Journal of Quantitative Spectroscopy and Radiative Transfer (印刷中)(発表予定)
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The Astrophysical Journal (印刷中)(発表予定)
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